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今日の話は「留守番の置き手紙」の話

わたしの母はとても達筆な人であります。
若い頃は書をたしなむのが趣味でありましたから、
わたしの小学校の書き初めの宿題なんて時には、
こちらがうんざりするくらいのとても熱心な指導があったものです。

母の手紙は流れるような書体で美しく、
受け取った側はたいてい感嘆したものでした。

で、今日の話は私が子どもの頃の置き手紙の話。
その母が子どもを残して出掛ける時には
よくテーブルに置き手紙を残していってくれました。
母の行く先、帰宅予定時間、留守番中の注意。
そんな事をつらつらと書き連ねた最後におやつの場所。

「おやつは~の中」と
おやつのしまってある場所をキチンと書いてありました。
しかし、達筆の母が出がけに急いで書く、置き手紙。
字が流れすぎて子どもの私と妹には読めないのです。

「おやつは~の中」
一体、おやつはどこにしまわれてるのだろう。
よく、妹と二人でテーブルに置かれた謎の紙切れを見つめて
解読に頭をひねったものでした。

まるでヒントを元に探す宝探しのよう。

まあ、たいていおやつの置いてある場所は
茶箪笥の中か冷蔵庫と決まっているので
どちらかを開ければ宝(おやつ)は発見されるのではありますが、
開けて見つけたところで、
たとえば冷蔵庫の中にリンゴがあり、
茶箪笥を開ければ、昨日お隣さんからの頂き物のお菓子がしまってあるのを発見したら
一体どちらに手を出せばいいのか迷うのです。

ああ、どうしよう。
どっちを食べたら怒られないかな。
その決断を下すのは姉の私の役割でありました。

ああ、その時に
字はきれいであるより読みやすく
内容の伝達を心がけなくてはいけないものだとつくづく悟った、
私達姉妹の苦しくて可笑しい思い出。

今でも妹と「あれには困ったよね」と話して笑う事・・・
by otegami-studio | 2009-09-30 06:15 | おはなし