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強 盗「おい、おまえ、うれしそうな顔、してんな!
    ちょっと、待ちなよ!ほら、出してみろ。
    なんか、うれしい気持ち、持ってんだろ!
    それ、そこに置いてきな!」
 
通行人「え、え、?
     な、な、なんですか?あなたは!」

強 盗「オレはワクワクとかウキウキとかが欲しいんだ!
    人の分まで集めてウキウキしたいんだよっ」

通行人「お、お金ならあげますっ!」

強 盗「金なんていいんだ。ウキウキを出せ!」

通行人「で、でも、
     あなたのおかげで今はドキドキとビクビクしかありません。
     さっきのウキウキなんてすっ飛んでしまいました。」

強 盗「なに?もう持ってないのかっ!!」

通行人「は・・・い」

強 盗「おびえた顔、しやがって!そんな顔に用はねぇんだよ!
    邪魔だ!さっさと俺の前から消えろ!
    オレはウキウキを手に入れたいんだ。
    あっ!向こうを通るあいつの方がよっぽどウキウキした顔をしてるぞ。
    おいこら、そこの!ちょっと待て!」

通行人「あぁ・・・よかった。行ってしまった!
     これでミカコさんとの待ち合わせにも間に合うぞ。
     プレゼントも渡せるし・・・」

強 盗「おい!さっきのお前!
    また、ちょっとウキウキ持ってねぇか?
    顔に出てんだよ、俺様は持ってますって、よ!」

通行人「い、いえ!そんなぁ~!」

強 盗「そんな、あからさまに顔に出てると狙われるぜ。
    オレみたいな野郎によ。
    でもよ、無くすなよ!そのウキウキ!
    楽しいことも長く続けばウキウキも薄れるからよ。
    オレみたいな強盗に取られる前に無くすんじゃねえよ」

通行人「・・・・ありがとうございます。大切にします、これ」

強 盗「それじゃあな。」


さすらいのウキウキ強盗。
彼がウキウキを手にするのはいつの日か。
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by otegami-studio | 2010-11-03 06:55 | 備忘録
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さて。
予告通りにアラビアンナイトのお話しをしましょう。

子供の頃に読んだ「アラジンと不思議なランプ」などから
アラビアンナイト自体は知っている方が多数でしょう。
さらにちょっと大人になれば、アラビアンナイトのお話しが始まるきっかけが
ものすごいエピソードな事もご存じかもしれませんね。
なにせアラビアンナイトは「大人の話」ですもの。

ざっとかいつまんで言えば・・・
2人の兄弟の王が留守中に自分達の妃が浮気をしていることを知り
(これがまた兄の方の妃なんて男奴隷20人と女奴隷20人を相手に・・・だとか)
兄弟もろとも女性に失望と怒りを感じる訳です。
嫌になって旅に出れば、魔神ですら女性に浮気されているのを目撃しさらに落胆。
兄は国に帰ると妃と奴隷を殺し、大臣に命令して毎晩新しい乙女を呼び寄せては
一晩夜伽をさせた後で殺すようになっていった訳であります。
とうとう都に乙女がいなくなってしまったところで、大臣のとっておきの姉妹が
自ら進んで王の元へ入るのです。
これが姉シャハラザードと妹のドニアザード。
国の乙女の命を守る為、自らの命を張ってシャハラザードは立ち上がる(笑)。
武器は持ち前の美貌とお話し。かっこいいですわ。

姉が王の寝室で女の魅力を発揮した後、打ち合わせをしていた通りに隣の部屋にいる妹が
「お姉さん、お話しを聞かせてよ」と物語をねだる、という姉妹の連携プレー。
かくして千夜一夜を通してお話しを続けた所で、兄王の気持ちが治まるのだけれども。

一晩に一話って訳ではないので、お話しの数は千もありません。
長い話は何夜にも渡って語られるのです。

___ここまで話した時、シャハラザードは朝の光が射してくるのを見て、慎ましく、口をつぐんだ。

と、話が佳境に入るとこれですからね。

では・・・私も今日はここで。
慎ましく口をつぐんでしまうのでした。
まだ最終回の話になってないじゃないですか!!
そうです、これがシャハラザードの技。続きは次回。

さて、読者の王様、ならぬお姫様方。
この休憩時間にジャスミンティーを用意しておくと次回が楽しいのでありますよ。
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by otegami-studio | 2010-07-07 06:38 | おはなし
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これまでのおはなしは・・・
私はおじいちゃんの作業場で偶然見つけた、海賊船の形をした帽子がとても気に入ってしまった。
私が木彫りの海賊人形を載せて、毎日ご機嫌でかぶっているうちに、
なんと海賊達もしゃべるようになってしまうのだ。
おまけにおばあちゃんの言うことには、「確かあともう一艘、海賊船の帽子があるはず・・・」。
海賊船の対面を想像してドキドキしていたある日のこと、
とうとうその「もう一艘の海賊船」をかぶる男の子に出会ってしまったのだ。

「海賊船の帽子のはなし1」
「海賊船の帽子のはなし2」



私達はへんてこな帽子をかぶったお互いの姿をまじまじとみつめた。

「とうとう、会ったね」

私と同じ年くらいの男の子が先に口を開いた。
それを聞くと、さっきまであんなに騒いでいた2艘の海賊達が
ピタリと静まりかえった。

「こんにちわ・・・」
私はとりあえず挨拶をしてみた。
落ち着いて出来るだけ丁寧に。

「ここのところずっと、君の海賊船の噂ばかり聞いてたよ。
 でも、君ばかりが海賊船を持っているとは思うなよ!
 オレ達の縄張り、荒らすんじゃねえよ!」

男の子はずいぶんと挑戦的な口ぶりだった。
初対面なのにこの言いぐさはあんまりだ。
それも私の住んでいる街を「オレたちの縄張り」だなんて
勝手に決めていることに
わたしはちょっと頭にきたから
言い返してやった。

「どういうことよ?あんた何様のつもりなのよ
 こっちは挨拶しているのに、挨拶すらしないわけ?」

「同じ海(街)に2つも海賊船はいらないんだよ!
 ここは昔からオレん家の海賊船の縄張りなんだ。
 いまさらのこのこ出てくんなよ!」

「なに言ってんのよ。あんたにツベコベ言われる筋合いはないわよ。
 縄張りなんて今、初めて聞いたわよ!
 私は私のおじいちゃんの作った帽子をかぶって、
 自分の街を歩いているだけなんだから!
 あんたこそ、その帽子、どうしたのよ!」

「オレはオレの親父から譲り受けたんだ。
 この海賊達ともオレが小さいころからの知り合いだ!」

それを聞くなり彼の頭の上の海賊達は一斉にワァワァと歓声を上げた。

「だったらなによ!
 私の船は私のおじいちゃんが作ったし、
 海賊達は私が選びに選んだお気に入りの荒くれたちよ!」

私が対抗すると、私の海賊達も一斉に歓声を上げた。

道の真ん中で海賊決戦が始まりそうだった。
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by otegami-studio | 2010-05-07 06:00 | おはなし
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まずは海賊船の帽子のはなし1 をはじめに

一番最初にそれに気がついたのは、一番高いところに登っていた見張り役だった。
「船長!はるか沖合にあやしい船らしきものがみえます!!
 こちらに向かってくるようです!」

船上は大騒ぎになった。
海賊達は皆、舳先に集まったものだから、船がかしいで
私は目の前まで帽子が下がって見えなくなるのを
押し上げながら、一生懸命目をこらした。

「バカ野郎!もっと良く見ろ!海賊船か?」
「もう少し近づかないと・・・!」

すこしだけの追い風。
私の背中をゆっくりと押す風を全部利用してほんのちょっとでも
早く進もうと海賊船の帽子は一斉に帆を張った。

ああ、本当だ。
向こうの方から船らしきものを頭に乗せた人が近づいてくる。
男の人だ。
私と同じ年くらいの男の子だ。
あれは本当に海賊船の帽子なのかしら?
それもおじいちゃんの作った、もう一艘のもの?

目の利く見張りがさけんだ。
「船長!ジョリー・ロジャーが見えます!」

おおー!!!!
甲板は沸き立った。もちろん私もだけど。
ジョリー・ロジャーは一般的な海賊船の旗だ。
どくろに骨が2本組み合わさっている柄。
「降伏すれば命は保証、抵抗すれば皆殺」の意味。
やつぱり向こうも海賊なのだ!

「お前ら、一体ここらの海がだれのもんだと思ってんだ!」
「さあ、白旗あげな!」
「ゾクゾクしてくるぜ」

私の船のあらくれ達が汚い言葉を口々に叫んでうるさいったらありゃしない。
興奮した海賊達が同じ側に集まるものだから船がかしいで仕方がない。
私は何度も船が転覆しない様に頭の上にちゃんとかぶり直さないといけなかった。
でもそれは相手も同じらしくて、しきりに帽子を手で押さえていた。

どうやら向こうも海賊達をどっさり帽子にのせているらしい。
同じような汚い罵声が向こうの船からも聞こえて来た。

だんだん近づいて、ゆっくり歩いて、
警戒して舳先のふれあわない程度でお互い止まった。
こうしてようやく二艘の海賊船は向かい合ったのだった。

続きは「海賊船の帽子のはなし3」
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by otegami-studio | 2010-04-19 07:11 | おはなし
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昔話をするわね。
ちょっと変わった話で面白いから、たぶんあなたも気に入ると思うのよ。


私のおじいちゃんは、腕の良い帽子職人だったので、
生きている内には沢山の帽子を作っていたらしい。
生涯、一体いくつの帽子を作ったかわかりゃしないっておばあちゃんは言ったものだった。
頼まれればどんな形の帽子も作れたらしい。

おじいちゃんが亡くなって、だれも入らなくなった作業場には
作りかけの帽子や材料や道具やら、色々ながらくたが沢山で
私はそこで何か面白い物を探すのが大好きだった。
面白いお宝は色々見つけたけれど、とっておきがこれだった。

海賊船の帽子。
海賊の帽子じゃないのだ、海賊のの形。
船なのだ、船。
それはとても良く出来ていて、豪華で、でも思ったよりは軽く出来ていた。

その頃の私は有名なカリブの海賊ジョン・カラムに凝っていた頃だったから
迷わずこれをかぶる事にしたのだった。
雰囲気を出すために、甲板にはその頃集めていた木の海賊人形を自分で乗せた。
お辞儀は出来なかったし、引っかかるしで結構不便だったけれど
歩けば人は振り返るし、どこにいっても注目の的だった。
大きな船の帽子だもの、当たり前だとは思うけれど。
とにかく私はものすごく気に入ったのだった。

毎日かぶって、いつも木の人形達と海賊ごっこしていたせいで
ある日、とうとう人形達までしゃべるようになってしまった。
歩いてても「北北西に進路を取れ」「おも舵いっぱい」だとか、それはそれはうるさい。
でもどんどん本物の海賊船らしくなっていくので、私は嬉しくてたまらなかったのだ。
自分の海賊船をもっているなんて、なんて素晴らしいのだろう!

この帽子を私が気に入ってかぶりだしたら、
おばあちゃんは思い出したように急につぶやいた。

「あぁ、懐かしいわね。それはじいさんのお気に入りだったんだよ。
そう言えば確かもう一体同じ様な海賊船の帽子を作って売った気がするわね・・・」

なんてことだ。もう一艘、海賊船がある!
と言うことは・・・
いつか海賊船の帽子をかぶった誰かさんと道でばったり会うのじゃないだろうか。
会ったら一体どうなるのだろう!!。
私の海賊達はかなり血気盛んで、他の船の略奪っていう事を一度実際にしてみたくて
ウズウズしているのだ。
何てことだ、どうしよう心配だ。

心配だ、心配だと思っていると、そういうことは本当になるものである。
つまり、だ。
とうとう道の向こうから、来たのだ。
もう一艘の海賊船が!


続きは「海賊船の帽子のはなし2」へ
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by otegami-studio | 2010-04-12 06:50 | おはなし
子供の足はすぐに大きくなって靴が履けくなります。
本当にすぐ。

まだキレイな長靴がもう履けなくなったので捨てようかと
ずっと迷っていたのですが、
どうにもこうにもキレイでもったいないのです。
誰かに差し上げてもよいのだけれど、適当な年齢と体格の知り合いがいない。
どうしようかな・・・と思っていたら、ふと
植木鉢にしてみようと思いつきました。

長靴の底に水のぬける穴を開けてから土を入れて、
植える草木が無いので、とりあえず近所からそこらに生えてて
緑の濃い元気がよさそうな芽を掘ってきました。

植えてみます。
じょうろで水をジャージャー上からかけてみます。

ああなんて!
雑草の芽の気持ちよさそうなこと!
長靴は頭から水をかぶってなんて気持ちよさそうなこと!

新たな使われようがいつでも水になじんでいる生活になりそうなので、
長靴も嬉しいだろう・・・と一人満足をして
ベランダに並んだ子供の長靴を眺めたのでありました。

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by otegami-studio | 2010-03-23 06:53 | おはなし
ようやく仕事が一段落したのでリリ子さんとお茶しに出かける。

「あ~おわった終わった!嬉しいなあ。リリとゆっくりお茶できるね!」
「よかったね、ちょっと休憩」
「だけどさリリはいつもそのチーズケーキ頼むよね?」
「だって美味しいもの」
「いつも同じで飽きない?」
「飽きない」

リリ子さんと久しぶりでお茶。
彼女はいつもと同じチーズケーキ。

いつもいつも同じ商品を買う事を「縦買い」という。
(ショーケースの縦に並んである同一商品を買うから)。
ちなみに色んな種類を買うことは「横買い」(横一列に並んだ様々な商品を買うことから)。
リリ子さんは、まさしく縦買いの客。
こういう人はちょっと味が変わってもすぐわかるから怖いのです・・・と
ケーキ屋さんの人は言う。
ふふふ。りり子さんって微妙な違いにすぐ気づきそう・・・

やっと仕事が一段落しましたが、もう金曜日。
みなさま、良い連休を。


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さて続き。

なにしろ『ハウルの動く城』の主人公のソフィーときたら、
ものすごい悪態つきながらも
運命をザクザク切り開いていくのですから。
自分を縛るイメージという呪いからの解放。

私は思うのだけれど、
長男長女はきょうだいの内で何でも一番に物事を体験しなくちゃならないのですよ、
初めての事を一番にやる・・・これはとても勇気がいる事ではないですか。
それも自分のやり方で。
きょうだいの中でむしろ一番冒険心と勇気があると思うのです。

それに
長男長女って、小さな頃から下のきょうだいとおかーさんを守らなくてはならないのですもの。
(子供って生き物はどうしてもおかーさんを守るって決まっているようだから)
守るものがあるって事は、慎重にならざるを得ないけれど強いのよ。

だから冒険の旅に出て行っても大丈夫。
きっと切り抜けられる。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズも実は三人姉妹の長女です。
きっとそんな事を思って物語りを書いたに違いありません。
そして彼女の産んだ子供も三人の息子達。
でも彼女の息子なら大丈夫。
呪いをふりほどいて生きたはず。


次男次女の呪いもあると思うのだけれどね。
今度、妹に聞いてみよう。

ちなみに『ハウル~』のお話には続編がありまして
(『アブダラと空飛ぶ絨毯』(ハウルの動く城2))
こちらではハウルとソフィーは結婚していて息子までいます。
お話では残念ながらハウル達は脇なのですが、彼らのその後がかいま見られます。

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by otegami-studio | 2010-02-25 07:01 | おはなし
これを読んでくださっている読者の中に何人、長女がいるか
判らないのだけれども
今回はその長女(ここでの場合、長女は長女でも他にも
きょうだいがいて一番上の女の子の事)のお話。
長女でない方はゴメンネ。今回はつまらない。

『ハウルの動く城』は宮崎アニメになってご存じの方も多いはず。
かくいう私もそうです。アニメを見てから原作を読みました。

『ハウルの動く城』(Howl's Moving Castle)。
イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズ書いたこの物語の書き出しは

「・・・ 三人きょうだいの一番上に生まれるのはなんてついてないんでしょう!
もしきょうだいが運試しに出れば、昔話にあるとおり、長男や長女が真っ先に、
それも手ひどく失敗する事ぐらい、誰だって知っていたからです。・・・」

そんな一文から始まります。
読んだ時私は吹き出してしまいました。
このブログをお読みの長女諸姉も吹き出したでしょう?

そうよ、長男長女は失敗するものなのよねぇ・・・。

・・・くすくす。さて続きはまた明日。
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by otegami-studio | 2010-02-23 06:54 | おはなし
鳥の巣箱をギターに取り付けてから2週間。
息子が言いました。
「ねえ、かあさん。鳥、来ないよ。
だいたい、冬に巣箱を探しに来るアホな鳥はいないんじゃない?
寒い冬にはもう家って決まってるもんなんじゃない?」

そりゃ、そうだ!
うっかりしてた。鳥の家を建てる場所を探している間に
日にちだけが経ってしまっていたようだ。
でもさ、だいたい家を建てるとなるとこんなものじゃない?
場所探しって重要だもの。時間をかけないとね。

「そうか!そうだね、
冬に巣箱はわたしがバカだった!
もうすこし暖かくなってからにしよう!
じゃあさ、こっちにしてくれない?」

わたしは白い灯台をタンスの奥から取り出した。

「これも設置場所をさがしていたんだ!
ギターの上にピッタリ!!
昔、セイレーンが美しい歌声で船乗りを迷わせたというけれど
君は美しいメロディーと光で船を導いてくれたまえ!」

わたしは巣箱を取ると代わりに白い灯台をギターの上に載せた。
うん、いい。似合う。

「かあさん、今度は灯台の光が回ってくる度に眩しいよ・・・」
息子はすこし目を細めて涙ぐみながら言った。
ポロ~ン、ポロ~ンとつま弾くメロディーがどこか物悲しかった。



関連記事・・・「鳥の巣箱」

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by otegami-studio | 2010-02-19 06:34 | おはなし