おとし文

三月の末の頃。

道を歩いていたら、ほどけたリボンがゆるりと巻き付いた小さな袋が落ちていたのを見つけた。
透明な袋だったから、中にメッセージカードが入っているのが見えた。

「××先輩
今までどうもありがとうございました。
これからも先輩のことを応援してます。」

と書かれている。

卒業する先輩に宛てて何か記念品とともに贈られたカードだったのだろう。
透明な袋にはきっと、その記念品かお菓子か何かが入っていたのだ。
花柄とリボンの印刷されたカードに
ちまちまと書かれた文字で、間違いなく書いたのは女の子とわかる。
(だいたい、先輩に物をあげるのは女の子か・・・)

しかし、受け取ったのは女の先輩か?男の先輩か?

憧れのお姉さん先輩を想像してみる。
かっこいい男の先輩を想像してみる。
告白をしたいが、はっきりとは言えない気持ちを文面からくみ取る。
ああなんて、切ないくかわいらしい。
あれこれ思っておもしろい。

しかし・・・
この透明の袋とカードが道端に残っていたのはどういうことよ?
中身の小さなクッキーあたりを取り出してポイっと投げ捨てたのだろうか。

「あ~、これ、クラブの後輩から。3年全員に配るモンなの。決まり事だからさ~
この記念品だけとっとくか」
「だいたい、こいつ、誰よ?俺、知らねー。」
「面倒臭いからこのクッキーだけ食っちゃえ」

今度は透明な袋とカードを投げ捨てた先輩達の声を想像してしまった。
ああなんて、切なく哀しい。

あれこれ思ってしまう自分が面白い。

おとし文。
平安の昔、直接言えないことを巻紙にしたためて
伝えたい人の近くに落として伝えるという方法がありました。

私の拾ったおとし文。
私に拾わせるつもりは無かっただろうに。
だけど、私に謀らずも
いろいろ物を思わせて。
私はあなた(書き主の女の子)に想いをはせた。
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by otegami-studio | 2011-04-11 06:45 | 備忘録